2019年1月にカナダ保健省(Health Canada)から、最新版のフードガイドが発表されました。
それまでのフードガイドは、2007年版であり、なんと12年ぶりの更新です。
今回の内容はとても画期的と言え、今後のカナダ人や私たちの食生活の向上に大きく期待がされます。
そんな最新版のフードガイド、概要をご紹介します!
Table of Contents
【最新版】カナダのフードガイド2019
新しいガイドラインは、ビジュアルも新しく、モダンな写真に変わり、私たちにとてもわかりやすく使いやすくなりました。若い人にも興味を持ってもらえそうな写真ですよね、インスタ映え!
旧版はこちらで、見覚えがある人も多いのではないでしょうか?
旧版では、4つの食品グループがありました。
- Vegetables and Fruit(野菜とフルーツ)
- Grain Products(穀物類)
- Milk and Alternatives(牛乳とその代替品)
- Meat and Alternatives(肉類とその代替品)
「一日にこの栄養素をこれらの食品グループから1〜2サービング摂取しましょう。」というガイドラインだったのですが、国民にとってはこれが少し複雑に感じられていたようです。
サービング単位で考えられていたため、「1〜2サービング」ってどれくらいなの?となってしまいます。
Eat well. Live well.
Eat a variety of healthy foods each day
そこで最新版では、「一日にバラエティに富んだヘルシー食品を摂取しましょう」と掲げています。
このガイドラインの写真が示していることは、
- プレートの半分は野菜とフルーツ。野菜とフルーツをたくさん食べましょう。
- プレートの1/4はタンパク質。植物性のタンパク質を積極的に取りましょう。
- プレートの1/4は穀物。ホールグレイン(全粒穀物)を摂取しましょう。
- 飲み物にはお水を選びましょう。
ということ。今回大きく変わったところは2点あります。
一つは、動物性のタンパク質でなく、植物性のタンパク質を積極的に取りましょうというところ。豆類などがそうですね。
二つ目は、乳製品の比重が少なくなり、飲み物が牛乳からお水へと変わったところです。
Healthy eating is more than the foods you eat
何をどれだけの量食べるかということだけでなく、食生活についても多く記載されています。
Cook more often
もっとお料理しましょう!ということです。お店で簡単に手に入る加工食品に頼らないで、なるべく自分が食べるものは自分で用意すること。
お料理するということは、ヘルシーな食材を選び、味付けの調整ができるということ。また、外食費を減らすことにつながります。
忙しい生活の中でこれを実現するには、「料理することを習慣化し、時短で作れるように工夫する。」とヘルスカナダはアドバイスしています。
一度に多めに作り、作り置きをする。日本でも流行っていますよね。二日目にはアレンジして違うお料理にするなど。
多めに作って、冷凍保存しておく。スープやパスタソースなど、お鍋いっぱいに作って、1回分に分けて冷凍保存する。時間がないときにもすぐ温め食べられ、外食費を抑えられます。
また、スライサーやブレンダー、圧力鍋など、調理道具を上手に使い、時短料理をする。
Be mindful of your eating habits
「食べる」そのことだけでなく、食生活全体への意識の向上を目的としています。
- how you eat(どのようにして食べる?)
- why you eat(なぜ食べる?)
- what you eat(何を食べる?)
- when you eat(いつ食べる?)
- where you eat(どこで食べる?)
- how much you eat(どれくらい食べる?)
これらを考えることによって、ヘルシーな選択をする、食生活全体の向上、食べることを通じて心と身体に向き合うことなどを目的としています。
自分が好きな食べ物は嫌いな食べ物は何か?喜びを与えてくれるものは何か?
昨日の夕食に何を食べたのか思い出せますか?
自分がいつ誰と何をどれくらい食べたのか、食について興味を持つことで食生活全体への意識の向上に繋がります。
Enjoy your food
「食」や「食事」をすることを楽しもう!
例えば…
- 家族や友達と食事の時間を楽しもう
- 食材のお買い物を楽しもう
- お料理を楽しもう
- 家庭菜園をしてみよう
- 生産者を知ってみよう
- 家族や友達と一緒にお料理や片付けをしよう
Eat meals with others
家族、友達、同僚など、誰かと一緒に食べることで食生活を豊かにしましょう。
普段は買わない食材や、食べたことのないお料理も、誰かが買っていたり食べていると興味がわきますよね。新しいヘルシーな食に触れるとても良い機会です。
カナダには様々な人種が住んでいます。一般的な欧米食(ハンバーガーやポテトなど)だけでなく、ヨーロッパ料理はもちろんのこと、中東や南米、アフリカやアジアといった、まさに世界各国の味が楽しめます。いろんなテイストやお料理に興味を持って、食の世界を広げられると良いですね。
日々の忙しい生活の中で、家族が揃って一緒に食事をすることは容易ではないかもしれません。しかし子供にとっては正しい食生活を身につけるためにとても大切なことです。
Using food labels
食品表示ラベルを活用しましょう。
食品表示ラベルには、たくさんの情報が記載されています。なかなか必要な情報を読み取るのが難しいかもしれませんが、少しづつ理解していけるととても便利です。
例えば、たくさんあるシリアルの種類。どれを買おうか迷った時、表示ラベルを比べてみて、糖分の少ない方を選ぼうなど、選択に役立ちます。
Nutrition facts(栄養成分表)
パッケージでよく目にする %daily values (% DV) とは、一日摂取量比率のことです。一日の摂取量の何パーセントに相当するのかがわかります。目安としては次のようです。
- 5% DV 以下は、少ない
- 15% DV 以上は、多い
多く摂取したい栄養素、反対に少なく摂取したい栄養素に気をつけて見てみると良いです。
私は高血圧なので、特に塩分については注意深くチェックするようにしています。
Ingredient list(原材料)
使用した原材料が記載されています。原材料に占める重量割合の多いものから順に記載されています。
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Limit foods high in sodium, sugars, or saturated fat
加工食品には、塩分、糖分、油分が多いことはよく知られています。
さらに、ジュースやコーラなどの清涼飲料水には糖分が非常に多く含まれているため、気をつけなければいけませんね。
Be aware of food marketing
私たちの「買う」意欲を引き出すマーケティングにも気をつけなければなりません。
広告に惹かれ、パッケージに惹かれ、つい買ってしまう。はい、つい買ってしまうんです。泣
しかし、あらゆる情報に惑わされることなく、ヘルシーな食品を見極めることが大切です。
最後に
最新版のフードガイド2019は、とてもメッセージ性が強く、画期的な内容だと思います。私たち日本人にとっては、普段から気をつけていることが多い内容かもしれません。しかし、多くのカナダ人にとっては、普段の食生活について気づかされることが多い内容だと思います。
実際、フードガイドの写真通りの食事をするのは容易ではありません。でも、これを目標にして、個人個人ができるところから始めていけば良いと思います。
私も、夕食をテーブルに並べた時、「今日のプレートは、半分お野菜とフルーツになっているかな?」「植物性のタンパク質は入っているかな?」とチェックするようにしています。もしバランスが悪かったり、足りないものがあれば、明日明後日、いえいえ、一週間のうちにそれらを補う努力をすれば良いんです!
国を挙げてここまで推し進めたカナダは素晴らしいと思います。これからの国民の意識の変化、食生活の向上、多いに期待したいと思います。
参考資料:https://food-guide.canada.ca/en/
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